普段着の文章

物部俊之 日誌 「私はこう考えますけど、あなたはどうですか」




うろ 樹祠

古い樹木の
古い樹木には「うろ」ができる。
樹祠と書くらしい、中が腐ってぽっかりと開いた穴だ。
さて、不惑の歳もずいぶんに終え、私の内部にも「うろ」が大きく成長しつつある。
今まで何をしてきたろう。つまりはこれから何をしていこうという気分よりも、残り時間の減少に伴い、お前は何をどうして来たのだという焦りが見上げるほど、大きくなってしまう、これが「うろ」の主たる構成要素なのだろう、天地逆転して私の中の「うろ」が私を飲み込もうとするのだ。
多分、私の他にもこんな気分の人たちが多いであろう。

「うろ」を樹木の祠と言うならば、供え物でも線香でも焚き、それでも、どうしようもないのであれば、とにかく手当たり次第に辺りのモノを詰め込んで、「うろ」の存在を無くしてしまおうと画策するのだが、どうもこの「うろ」は食虫植物の遺伝子でも取り込んでいるらしく、いくら埋めてしまおうとしても、気に入らないモノは消化してしまうようだ。

結局のところ、「うろ」とうまく付き合っていく他ないらしい。
そう思い、頭突っ込んでのぞいてみれば、
案外、含蓄のある文様である。
また、樹液の溜まりが昆虫達の餌となり、なんとなれば、小鳥や小動物の避難場所にもなっているようである。
「うろ」とは案外気持ちのよい、人好しな輩なのかもしれない。
どうせ、死ぬまでつきあっていくのは違いないことであろうし、ならば、うまくやっていければいいなと年頭に思う。

 

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